ご成婚おめでとうございます!
これから始まるお二人の新生活に向け、期待に胸を膨らませていることと存じます。
しかし、式場見学で提示された「見積もり金額」を見て、一瞬で現実に引き戻されてしまった……そんな経験をされた新郎新婦様も多いのではないでしょうか。
「一生に一度の晴れ舞台、妥協はしたくない。けれど、これからの新生活のために貯金も残さなければならない」。
この理想と現実の狭間での葛藤は、多くの新郎新婦様が直面する、結婚式準備における最大の壁です。
焦って手当たり次第にコストを削減するのは危険です。あからさまな節約は、参列するゲストに「ケチったな」と見透かされ、せっかくの祝福ムードを台無しにしてしまう恐れがあるからです。
私は10年以上、ウェディングプランナーとして数多くの結婚式を見届けてまいりました。その経験から断言できるのは、「ゲスト満足度を維持したまま、総額を数十万円〜100万円単位で賢く下げる方法は確実に存在する」ということです。
本記事では、単なる「安くする方法」だけでなく、多忙な新郎新婦様のための「時間対効果(タイパ)」や、プランナーへの「交渉テクニック」まで網羅して解説いたします。
記事を読み終える頃には、削減すべき箇所と守るべき境界線が明確になり、自信を持って準備を進められるはずです。
「理想の挙式」と「賢明な家計管理」、双方を諦めないためのロードマップを、ここにお渡しいたします。
【鉄則】結婚式費用の仕組みと「メリハリ」の重要性

結婚式の費用削減において最も重要な概念、それは「メリハリ」です。
全ての項目を均一にランクダウンさせるのではなく、「お金をかける場所」と「削る場所」を明確に区分することが成功の鍵となります。
節約の失敗例:すべてを少しずつ削る
一番やってはいけないのが、「料理も装花も引き出物も、全てワンランクずつ下げる」という方法です。これでは式全体のクオリティが下がった印象を与え、ゲストの満足度が著しく低下してしまいます。
成功の法則:ゲスト目線で仕分ける
成功する節約術の鉄則は以下の通りです。
【結婚式節約のゴールデンルール】
- ゲストに還元されるものは削減しない(料理、ドリンク、引出物、ゲストの快適性に関わる設備)
- 自己満足・形に残らないものは徹底的に見直す(ペーパーアイテム、装花、新郎新婦の衣装小物、映像演出、日取り)
「ゲストへのおもてなし」は死守し、「自分たちに関わる部分」でコストを抑える。この線引きさえ間違えなければ、予算を抑えても「素晴らしい式だった」と評価されます。
【実践】ゲストにバレずに総額を下げる!具体的な節約ポイント5選

それでは、具体的な節約のテクニックを解説いたします。これらは「質」を落とさず「価格」だけを抑えるための、プロも実践する手法です。
① ペーパーアイテム(招待状・席次表・席札)
最も手軽で、かつ確実な効果が見込めるのがペーパーアイテムの「外注」または「Web化」です。
式場提携の業者に依頼すると、招待状1通あたり500円前後かかる場合がありますが、外部の専門業者や手作りキットを利用すれば、その半額以下に抑えられます。
さらに近年急増しているのが「Web招待状」です。
LINEなどでURLを送るだけで完結するため、招待状の印刷代だけでなく、返信ハガキの切手代(1枚85円〜)も不要になります。友人ゲストを中心にWeb招待状を活用するだけで、数万円の節約になります。
② ムービー関係(オープニング・プロフィール・エンドロール)
映像制作は、式場に依頼すると1本あたり5万円~10万円、セットで20万円を超えることも珍しくありません。
ここを「自作」または「格安の外部業者」に切り替えるだけで、十万円単位の節約に繋がります。
最近はスマートフォンのアプリ(CapCutやVLLOなど)でもプロ顔負けの動画編集が可能です。「自作は大変そう」と感じる場合でも、ココナラなどのクラウドソーシングで個人のクリエイターに依頼すれば、式場価格の半額程度で制作できる場合が多いです。
③ 衣装・小物(インナー・ベール・アクセサリー)
ドレスやタキシード本体の持ち込みは「持ち込み料(保管料)」が高額になるケースが多いですが、「小物類」は持ち込み料がかからない式場が一般的です。
- ブライダルインナー
- ベール、グローブ
- ティアラ、ネックレス、イヤリング
- 新郎のシャツ、カフスボタン
これらを式場で購入・レンタルすると割高になりがちです。ネット通販やフリマアプリ(メルカリ等)を活用して自身で調達することで、品質を変えずにトータル5万〜10万円の節約になります。
また、「お色直し」の回数を1回減らす、あるいは和装から洋装へ変更するだけでも、衣装代と着付け代を大幅に削減可能です。
④ 装花・ブーケ
装花は見積もりから最も金額が跳ね上がりやすい項目です。単に「花を減らす」と貧相に見えてしまうため、以下のテクニックを駆使してください。
- グリーン(葉物)を多用する: 花よりも安価なグリーンを増やすことで、ボリューム感を損なわずにナチュラルで洗練された雰囲気を演出できます。
- 高砂をソファ席にする: 豪華なメインテーブル(高砂)を廃止し、ソファ席にするスタイルが人気です。テーブルを飾る大量の花が不要になり、ソファ周りに適度な装飾を施すだけでオシャレに仕上がります。
- 「お任せ」にする: 特定の花材を指定すると、時期によっては高騰します。「ピンク系で可愛らしく」などイメージだけ伝え、花材はフローリストにお任せすることで、その時期に最も安く手に入る花を使ってもらえます。
⑤ 日取り・お日柄
これが最も金額へのインパクトが大きい要素です。内容は全く同じでも、日程の選び方一つで数十万円、場合によっては100万円近く見積もりが変動します。
| 日程の条件 | 費用の傾向 | メリット |
| 土曜午後・日曜夕方 | 安い | 翌日が休みのゲストには喜ばれる場合も。 |
| 仏滅・赤口 | かなり安い | 式場によっては大幅な「お日柄特典」が付く。 |
| 夏(7〜8月)・冬(1〜2月) | 安い | オフシーズンのため、予約が取りやすく安価。 |
| 直前予約(3〜4ヶ月以内) | 激安 | 空き枠を埋めるための特別プランが適用される。 |
ご親族がお日柄を気にされないようであれば、仏滅を選ぶだけで大幅な割引が適用されるケースが多々あります。これは最強の節約術と言えるでしょう。
【裏技】契約前が勝負!プランナーが教える「値引き交渉」の正解

「値引き交渉なんて、失礼にあたるのではないか」と不安に思う新郎新婦様も多いでしょう。しかし、タイミングと言葉選びさえ間違えなければ、正当なビジネス上の相談として受け入れられます。
交渉のゴールデンタイムは「契約前」
契約書にサインをした後に、条件を変更することは非常に困難です。交渉は必ず「契約前(本申し込み前)」に行う必要があります。「持ち帰って検討します」と言った後、再訪した時が勝負です。
プランナーを味方につける「魔法のスクリプト」
強引な値引き要求(「もっと安くしろ」など)は、プランナーとの信頼関係を損ないます。あくまで「相談」というスタンスで、以下のようにお話ししてみてください。
【交渉トーク例】
「この式場が第一志望で、ぜひここで式を挙げたいと考えています。ただ、どうしても予算が〇〇万円オーバーしており、今のままでは決断が難しい状況です。時期や時間帯の変更、あるいは特典の適用などで、あと〇〇万円ほど調整していただくことは可能でしょうか?もしその金額になれば、本日ここで即決したいのですが……」
ポイントは以下の3点です。
- 「ここが第一志望であること(熱意)」
- 「予算だけがネックであること(課題)」
- 「条件が合えば今すぐ契約する(決定権)」
プランナーにとっても「成約」は嬉しいものです。「今日決めてくれるなら」という条件があれば、上司に決裁を仰ぎ、特別な特典(端数カットやグレードアップ特典)を引き出してくれる可能性が高まります。
【判断基準】DIYは本当に得?「タイパ」で決める外注vs手作りの境界線

「節約=DIY(手作り)」と考えがちですが、共働きで多忙な新郎新婦様にとって、時間は貴重な資源です。
材料費だけでなく、「制作にかかる時間」を時給換算して検討することをオススメします。
睡眠不足の新婦様の悲劇
以前担当させていただいた新婦様のエピソードです。
節約のために、ペーパーアイテム、ウェルカムボード、プロフィールムービー、プチギフトのラッピング、フラワーシャワーの詰め替えまで、全てを手作りされました。
しかし、仕事との両立で直前まで作業に追われ、当日は睡眠不足で目の下に濃いクマができ、肌荒れも隠せない状態に……。
「こんなに疲れるなら、数万円払ってでもプロに頼んで、エステに行って早く寝ればよかった」と後悔されていました。
DIYと外注の賢い使い分け
お二人の貴重な時間を守るため、以下のような基準で仕分けを行いましょう。
| 項目 | 推奨 | 理由 |
| 席札・メッセージカード | DIY | 難易度が低く、手書きメッセージで感謝が伝わりやすい。 |
| ウェルカムボード | DIY | 自由度が高く、失敗しても修正が容易。 |
| プロフィールムービー | 外注/プロ | 編集ソフトの習得に時間がかかる。プロの方がクオリティが高い。 |
| 司会者・カメラマン | プロ | 当日の進行や記録の質は、素人では代替不可能。絶対にプロへ。 |
| ヘアメイク | プロ | 写真映りに直結するため、節約は厳禁。 |
無理なDIYは、お二人の喧嘩の原因にもなりかねません。「単純作業は自分たちで、技術が必要なものはプロへ」という線引きが重要です。
【注意】後悔しないために!やってはいけない「NG節約」3選
最後に、いくら予算が厳しくても「ここだけは削ってはいけない」ラインをお伝えします。ここを削ると「ケチな結婚式だった」というレッテルを貼られるリスクがあります。
- 料理のランクダウン(品数を減らす・メインの質を落とす)ゲストの記憶に最も残るのは料理です。「料理が少なかった」「美味しくなかった」という印象は、式の良し悪しを決定づけてしまいます。ランクを下げるとしても、必ず試食会で味とボリュームを確認し、納得した上で決断してください。
- 引出物のケチりすぎ・持ち込みトラブルカタログギフトの価格を下げすぎて、欲しい商品がない……というのはよくある不満です。また、引出物を「後日配送(宅配)」にして持ち込み料を回避する手法がありますが、配送トラブルや手配漏れのリスクは新郎新婦様自身が負うことになります。数千円の節約のために大きなリスクを背負うのは得策ではありません。
- ゲストの快適性の犠牲真夏のガーデン挙式や、真冬の屋外でのフラワーシャワーなど、ゲストに肉体的な負担を強いる演出は避けるべきです。また、駅から遠い式場での「送迎バス」カットもNGです。ゲストへのおもてなし(ホスピタリティ)に関わる費用は、必要経費と割り切りましょう。
結婚式の節約に関するよくある質問(Q&A)

Q. 持ち込み料を払ってでも外部業者を使った方がお得ですか?
A. 差額によりますが、目安として「(外部業者の費用 + 持ち込み料) < 式場提示価格」であればお得です。しかし、手間やトラブル時のリスクも考慮し、差額が数千円〜1万円程度であれば、式場にお任せする方が安心な場合もあります。
Q. 最終見積もりは初期見積もりからどれくらい上がりますか?
A. 一般的に、初期見積もりから平均で50万円〜100万円程度上がると言われています。衣装や装花のグレードアップ、料理の追加などが主な要因です。だからこそ、初期段階で「不要なもの」を削り、バッファ(予備費)を持たせておくことが極めて重要です。
Q. 支払いにクレジットカードは使えますか?
A. 式場によります。もしカード払いが可能であれば、数百万円の支払いで大量のポイント(数万ポイント!)が還元され、新婚旅行の航空券やホテルのアップグレードに充当できるため非常に「お得」です。契約前に必ずカード利用の可否と、利用限度額の確認をしておきましょう。
まとめ:賢く節約して、最高の結婚式と新生活をスタートさせよう
結婚式の節約は、決して「我慢」や「質を落とすこと」ではありません。
「お二人が本当に大切にしたいもの」を選び抜き、賢く資金を配分するための前向きな戦略です。
浮いた数十万円、あるいは100万円という資金は、憧れの新婚旅行のグレードアップや、新居の家具、そしてお二人の将来の資産となります。
「ゲストに喜んでもらいたい」という誠実な想いさえあれば、費用を抑えても、心温まる素晴らしい式は必ず叶えられます。
まずは、お二人で話し合い、以下のステップを踏んでみてください。
- 「自分たちでできること(DIYリスト)」を作成する
- 「絶対に譲れないこと(優先順位)」を決める
- 次回の打ち合わせや見学で、本記事の「交渉スクリプト」を使って相談する
お二人の結婚式が、ゲストの笑顔に溢れ、そして「賢く準備できた!」という達成感に満ちた最高の一日となることを、心より応援しております。

