ご成婚おめでとうございます!
これから始まる結婚式の準備、胸が高鳴る瞬間ですね。しかし同時に、多くの新郎新婦が直面する「お金の悩み」。
「結婚式の見積もりは、最終的に100万円上がるのが当たり前」
そんな噂を耳にして、不安を感じては居ませんか?
一生に一度の晴れ舞台、妥協はしたくないけれど、予算には限りがあるのが現実です。「契約時の金額と全然違う!」と後で青ざめない為には、値上がりのカラクリを正しく理解し、先手を打って対策する事が不可欠です。
私はこれまで10年以上、数多くの結婚式をプロデュースして参りました。その中で、当初の予算を大幅に超えてしまい、涙ながらに演出を諦める新郎新婦を何組も見て来ました。そんな悲しい思いをして欲しくない。その一心で、本記事を執筆致します。
この記事では、契約前に確認すべき必須項目から、契約後でも間に合う具体的なリカバリー策まで、プロの視点で余す事なく解説します。単なる節約術ではなく、「ゲスト満足度を守りながら賢くコストを抑える」為の実践的なガイドです。
これを読めば、見積もりの数字に踊らされる事無く、お二人にとって本当に必要な物を見極める「選球眼」が身につく筈です。納得感のある予算で最高の結婚式を叶える為の第一歩を、ここから踏み出しましょう。
噂は本当?結婚式の見積もりが値上がりする3つの理由【カラクリ解説】

結論から申し上げますと、「見積もりが初期から100万円近く上がる」というのは、決して珍しい話ではありません。
勿論、全ての新郎新婦に当て嵌まる訳ではありませんが、仕組みを知らないままで居ると、アッという間に予算オーバーしてしまうのがブライダル業界の構造なのです。
まずは、何故そのような現象が起きるのか、その主な原因を3つ紐解いていきましょう。
1. 初期見積もりは「最低ランク」で作られている
式場見学の際に提示される初期見積もり。この金額を見て「これなら予算内で収まりそう!」と契約を決める方が多いのですが、此処に落とし穴が有ります。
多くの式場では、契約のハードルを下げる為、「最低限のアイテム」や「最も安価なランク」で見積もりを作成する傾向が有ります。
【よくある初期見積もりの実態】
- 料理: 品数が少なく、メインのお肉が牛肉ではない一番下のコース
- 装花: メインテーブルに小さなアレンジメントが1つだけ
- 衣装: 「プラン内」で選べるドレスは数着のみ、殆どが追加料金対象
- 映像: 記録ビデオやエンドロールが含まれて居ない
これらは、実際の打ち合わせが始まると「流石に寂しいな」「ゲストに失礼かも」と感じてランクアップする可能性が非常に高い項目です。
2. 気づけば予算オーバー!値上がりしやすい「魔の3大項目」
特に金額が跳ね上がりやすいのが、以下の3つの項目です。
| 項目 | 値上がりの理由 | 平均的なアップ額 |
| 衣装 | お気に入りのドレスがプラン外、お色直し追加、小物の追加など | +30〜50万円 |
| 料理 | ゲスト満足度を考えてコースをランクアップ、ドリンク種類の追加 | +20〜40万円 |
| 装花 | 卓上のボリュームアップ、ブーケの追加、会場装飾の追加 | +10〜20万円 |
これらを合計するだけでも、容易に50万円〜100万円の増額になってしまうのです。
3. 金銭感覚の麻痺(アンカリング効果)に注意
結婚式という非日常の空間で、数百万円単位の契約をしていると、数万円のオプションが「安く」感じてしまう心理現象(アンカリング効果)が働きます。
「一生に一度だから」という魔法の言葉も相まって、普段なら躊躇する金額を次々と追加してしまうのです。
【実話エピソード】契約後に120万円上がってしまったAさんの事例
私が担当したAさんご夫妻の事例をご紹介しましょう。
当初、80名で300万円の見積もりで契約されたお二人。「予算重視で」と仰っていましたが、打ち合わせが進むにつれ、こだわりたい部分が見えてきました。
- 「やっぱりドレスは妥協したくない!」→ +40万円
- 「試食したら下のランクの料理だと物足りない…」→ +24万円(一人3,000円アップ×80名)
- 「高砂(メイン席)の背景が寂しいからお花を増やしたい」→ +15万円
- 「当日の記録ビデオも残したい」→ +20万円
- その他、引出物のランクアップや美容オプションなど → +21万円
結果、最終見積もりは420万円に。
幸い、ご祝儀やお二人の貯金で賄えましたが、「最初から分かっていれば、もっと貯金計画を立てられたのに…」と仰っていました。
このように、「契約時の見積もりはあくまでスタートライン」である事を認識しておく必要が有ります。
【契約前の対策】後悔しない!値上がりを防ぐ見積もりのもらい方チェックリスト

もし、お二人がまだ「契約前(式場検討中)」の段階で在れば、非常にラッキーです。
契約前の交渉こそが、最終的な金額を抑える最大のチャンスだからです。プランナーに対して、以下のポイントを確認する様にして下さい。
1. 「先輩花嫁の平均ランク」で再見積もりを依頼する
「一番安いプランで見積もって下さい」と言うのは避けましょう。代わりに、以下の様に伝えてみて下さい。
🗣️ プランナーへの伝え方
「後で金額が上がるのが不安なので、先輩花嫁の皆さんが実際に選ばれている『平均的なランク』で再見積もりを作って頂けますか?」
具体的には、以下の内容を盛り込んで貰うのがオススメです。
- 料理・ドリンク:下から2番目〜中間のランク
- 装花:平均的なボリューム
- 衣装:プラン差額を想定して、予め10万円〜20万円ほど多めに入れておく
2. 必須オプションは最初から盛り込んでおく
後から追加になりがちな項目を、最初から見積もりに入れておけば、想定外の値上がりを防げます。
- ✅ 記録映像(ビデオ撮影):当日の様子を残すなら必須。
- ✅ スナップ写真(アルバム):カット数を多めに設定。
- ✅ エンドロールムービー:当日編集のものは高額になりがち。
- ✅ 親族衣装・着付け:両親の留袖やモーニング代。
- ✅ 美容リハーサル:メイクリハーサル代が含まれて居ない事が多い。
3. 最大の節約ポイント「持ち込み」の条件を交渉する
結婚式の節約において、最も効果が大きいのが「持ち込み」です。
しかし、契約後に「ドレスを持ち込みたい」と言っても、「契約上、持ち込みは禁止です」や「高額な持ち込み料が掛かります」と断られてしまうケースが多々有ります。
契約の判子を押す前に、必ず以下の点を確認しましょう。
- ドレス、カメラマン、引き出物、ペーパーアイテム等の持ち込みは可能か?
- 持ち込み料は幾らかかるか?
- 「契約特典として、持ち込み料を無料にして貰えませんか?」と交渉してみる。
【契約後の対策】まだ間に合う!プランナーと揉めずにコストを下げるリカバリー術

「もう契約してしまった…」「打ち合わせが進んで予算オーバーして居る」という方も、諦める必要は有りません。契約後からでも実践できる、効果的なコストダウン術をご紹介します。
1. ペーパーアイテムとムービーはDIYで大幅節約
時間と手間は掛かりますが、確実に数万円〜十数万円の節約になります。
- 招待状・席次表・席札: 外部の専門業者に依頼するか、キットを購入して自宅で印刷すれば、式場価格の半額以下に抑えられる事が多いです。
- プロフィールムービー: パソコンが得意なら自作、苦手なら「ココナラ」等で個人のクリエイターに安く依頼するのも手です。
2. 装花は「花材指定」ではなく「雰囲気指定」でボリューム維持
お花は、種類を指定すると時価の影響を受けやすく高額になります。
例えば「絶対にシャクヤクを使いたい」と言うと高くなりますが、以下の様に伝えると、フローリストがその時期に安く仕入れられる花を使って上手く調整してくれます。
🗣️ 節約できるオーダーの仕方
「ピンクと白を基調に、ナチュラルな雰囲気でお願いします。花材はお任せするので、ボリュームを優先して下さい。」
また、高砂(メイン席)を「ソファ席」にすると、足元まで装飾が必要になり高額になりがちです。テーブル席の方が、お花を飾る範囲が限定される為、費用を抑えやすい傾向が有ります。
3. 料理ランクは下げずに「品数」と「ドリンク」で微調整
料理のランクを下げると、ゲストに「ケチったな」と気づかれやすい為、あまりオススメしません。その代わり、以下の微調整を検討してみて下さい。
- 品数を調整: デザートビュッフェが付いて居るならカットする。
- ドリンクの種類: カクテルの種類を減らす等、飲み放題のランクを見直す(ただし、ビール・ワイン・ソフトドリンクなど基本ラインナップは必須)。
- ウェディングケーキ: 生ケーキではなく、装飾用のイミテーションケーキ(入刀部分だけ生)にする事で費用が下がる場合が有ります。
削りすぎは危険!お金をかけるべき「ゲスト満足度」と削れる「自己満足」

節約は大切ですが、何でもかんでも削れば良い訳ではありません。
「ゲストへのおもてなし」に関わる部分を削りすぎると、結婚式自体の満足度を下げてしまう恐れが有ります。
メリハリを付ける為の指針として、以下の表を参考にして下さい。
| 投資すべき項目(ゲスト満足度) | 節約してもバレにくい項目(自己満足) |
| 料理・ドリンク (一番の楽しみにして居る方が多い) | お色直しの回数 (1回でも十分素敵です) |
| 引出物 (感謝の気持ちを伝える贈り物) | 挙式会場の過剰な装飾 (滞在時間が短い為、記憶に残りにくい) |
| アクセス・お車代 (遠方からのゲストへの配慮) | 席次表の紙質 (見やすければOK) |
| スタッフの質 (サービス料は削れないが必要経費) | ケーキの装飾 (派手で無くても味は変わりません) |
「ゲストが直接触れるもの、口にするもの」にはお金を掛け、「お二人の自己満足になりがちな装飾や演出」は工夫して節約する。この基準を持つ事で、予算配分に迷いが無くなります。
自分たちだけでは不安なら「見積もり診断」を利用しよう

ここまで対策をお伝えしましたが、やはり「自分たちだけで式場と交渉するのは不安」「提示された見積もりが適正価格なのか判断できない」という新郎新婦も多い事でしょう。
そんな時に強くオススメしたいのが、「式場相談カウンター」や「式場紹介サービス」の活用です。
式場相談カウンター(ハナユメ・ゼクシィ等)の活用メリット
- プロによる見積もりチェック:契約前に「この内容で不足が無いか」「後で上がる項目は無いか」を第三者の視点でチェックして貰えます。
- 独自の割引プラン:「ハナユメ割」や「ゼクシィ花嫁割」の様に、個人で申し込むよりもお得なサイト限定の割引プランが適用される事が多いです。
- 交渉代行:言いにくい条件交渉や、お断りの連絡をコンシェルジュが代行してくれるサービスも有ります。
注意点:相談は「式場見学予約の前」にするのが鉄則
多くのサービスは無料で利用できます。しかし、式場見学予約を入れた 後 や、既に契約済みの場合は、特典や割引が適用されない事が殆どです。
式場探しを始めたら、まず最初に相談カウンターを利用するのが一番のポイントです。
結婚式の見積もりに関するよくある質問(Q&A)

Q. 契約後に値引き交渉はできますか?
A. 正直、かなりハードルが高いです。
契約書を交わした後では、式場側に値引きに応じるメリットが少ないからです。
但し、「予算オーバーでこのままだと契約自体を見直さなければならない(解約も検討して居る)」といった深刻な状況であれば、相談に乗って貰える可能性はゼロではありません。
「他社はもっと安かった」と競合を引き合いに出すよりは、「どうしても此処で挙げたいが、予算だけがネック。何か代替案は無いか」と味方になって貰うスタンスで相談するのがコツです。
Q. 見積もりに消費税とサービス料は含まれていますか?
A. 含まれて居ない場合が有ります。注意が必要です。
多くの式場では、料理や会場費などの本体価格とは別に、10%〜15%程度の「サービス料」が加算されます。見積もりの表紙や合計欄に小さく記載されて居る事が多いので、必ず「税金とサービス料を含んだ総支払額」を確認しましょう。
Q. 持ち込み料を払ってでも持ち込んだ方が安いですか?
A. アイテムによります。
例えば、式場提携のドレスが30万円、持ち込みたい外部ドレスが10万円だとします。持ち込み料が5万円掛かったとしても、合計15万円なので、15万円の節約になります。
逆に、持ち込み料が高額(1着10万円など)な場合は、提携店で選んだ方が安く済む事も有ります。「アイテム代 + 持ち込み料」のトータルコストで計算してみて下さい。
まとめ:仕組みを知れば怖くない!納得の見積もりで理想の結婚式を
最後までお読み頂き、有り難う御座居ます。
結婚式の見積もりに付いて、少しでも不安は解消されましたでしょうか?
結婚式の見積もりは、知識が無いまま進めると確実に値上がりしますが、「仕組み」さえ知って居ればコントロール可能です。
- 契約前なら: 現実的なランクで見積もりを出し、持ち込み交渉をする。
- 契約後なら: DIYや装花の工夫でコストを削り、ゲスト満足度に関わる部分は守る。
お二人の現在のフェーズに合わせて、出来る事から一つずつ実践してみて下さい。
結婚式は、お二人の新たな人生のスタート地点です。
お金の事ばかりに気を取られて、準備期間が喧嘩の思い出になってしまっては本末転倒です。賢く予算を管理し、心から楽しめる結婚式当日を迎えられる事を、心より応援しております。
もし、これからの式場探しで迷われた際は、是非プロのアドバイザーを頼ってみて下さい。第三者の力を借りる事も、賢い新郎新婦の選択肢の一つです。
お二人の結婚式が、笑顔溢れる最高の一日となります様に。


