ご成婚おめでとうございます!
これからの結婚式準備、期待に胸が膨らむ一方で、「何から手をつければ良いのか」と不安も感じているのではないでしょうか。
私はこれまでの10年間、数多くの新郎新婦様の結婚式をプロデュースして参りました。その中で、最初にして最大の「壁」となるのが、今回のテーマである「結婚式のコンセプト決め」です。
「お二人の結婚式のコンセプトは?」 「どんなテーマにしたいですか?」
式場見学や打ち合わせの冒頭、必ずと言っていいほど投げかけられるこの質問。 しかし、即座に答えられる新郎新婦はごく僅かです。
「共通の趣味なんて特に無い」 「オシャレにしたいが、センスに自信が無い」 「そもそも、コンセプトが必要な理由が分からない」
もし、皆様がそのように感じていても、決して焦る必要はありません。 実は、素晴らしい結婚式を挙げた先輩新郎新婦の多くも、最初は同じ悩みを抱えていました。
本記事では、10年の経験に基づき、「特別な趣味やエピソードが無くても、二人らしいコンセプトを作る方法」を解説します。 これを読めば、漠然とした不安が解消され、プランナーへ自信を持って伝えられる「魔法の言葉」が見つかるはずです。
結婚式にコンセプトが必要な「本当の理由」

まず、なぜこれほどまでに「コンセプト」が重要視されるのでしょうか。 単に「オシャレな結婚式に見せるため」だけではありません。
プロの視点からお伝えします。コンセプトとは、結婚式準備という長い航海における「羅針盤(コンパス)」です。
1. 無数の「決断」に迷わなくなる
結婚式の準備は、まさに「選択の連続」です。 ドレス、装花、ペーパーアイテム、BGM、料理、引出物……。本番までに数千回もの「決断」を迫られます。
この時、明確なコンセプト(判断基準)が無いと、どうなるでしょうか?
- 「インスタで見て可愛かったから」と選んだドレス
- 「流行っているから」と選んだ高砂ソファー
- 「好きな曲だから」と選んだBGM
一つひとつは素敵でも、並べてみると「チグハグな印象」になりがちです。 逆に、コンセプトという「軸」さえあれば、「これはコンセプトに合っているか?」という基準で、即座に取捨選択が可能になります。迷う時間が減り、準備がスムーズに進むことは間違いありません。
2. ゲストの記憶に深く刻まれる
「なんとなく綺麗な結婚式だった」で終わらせないためには、一貫したストーリー性が必要です。
招待状を受け取った瞬間から、当日の空間演出、BGM、そして最後のプチギフトに至るまで。一つの想いが貫かれている時、ゲストはまるで映画の中にいるような没入感を感じます。その感動こそが、ゲストの記憶に深く刻まれるのです。
【実践編】センス不要!コンセプトを決める3つのステップ

では、実際にどのようにコンセプトを決めていけば良いのでしょうか。 「共通の趣味」や「熱いエピソード」は不要です。必要なのは、二人の価値観を言語化する作業だけです。
ステップ1:ブレインストーミング(価値観の棚卸し)
まずは、ノートとペンを用意し、思いつく言葉を書き出してみましょう。 ここでのポイントは、「好きなモノ」だけでなく、「感覚」や「嫌いなこと」も書き出す点です。
書き出しリストの例
- 好きなモノ・コト: 珈琲、海、休日の朝、シンプルな服、旅行、愛犬との散歩
- 二人の雰囲気: 落ち着いている、よく笑う、自然体、背伸びしない
- ゲストへの想い: 感謝、久しぶりの再会、リラックスしてほしい、美味しいものを食べてほしい
- 嫌いな雰囲気(NG): 派手すぎる演出、堅苦しい挨拶、長すぎるスピーチ、ゲストを放置すること
綺麗にまとめようとせず、単語を羅列するだけで構いません。お互いの意外な一面が見えることもあり、この作業自体を楽しんでみてください。
ステップ2:キーワードの抽象化とグルーピング
次に、書き出した言葉の中から共通点を見つけ、「抽象的なキーワード」に変換します。 これがコンセプトの「核」となります。
ここからは、私が担当したある新郎新婦の実例をご紹介しましょう。
【実例エピソード:趣味が無いお二人】
新郎様は会社員、新婦様は公務員。 「特に共通の趣味も無いし、目立ちたくない。でもゲストには感謝を伝えたい」というご相談でした。
ヒアリングを進めると、お二人が一番幸せを感じる瞬間は、 「休日の朝、二人でコーヒーを飲みながらゆっくり話している時」だと判明しました。
そこで導き出したコンセプトは…… 「Sunday Morning(日曜日の朝)」
「日曜日の朝のような、温かくてリラックスできる空間で、大切なゲストをおもてなしする」 これが、お二人のブレない「軸」となりました。
当日の演出
- 挙式はゲストに見守られる人前式で、誓いの言葉はオリジナルの手紙。
- 会場には淹れたてのコーヒーの香りを漂わせ、BGMはゆったりとしたジャズを。
- 豪華なコース料理の最後は、二人でサーブするデザートビュッフェで会話を楽しむ。
ゲストからは「二人らしくて本当に落ち着く式だった」「こんなに新郎新婦と話せた結婚式は初めて」と、大好評でした。
このように、日常の些細な幸せや価値観こそが、誰とも被らない最高のコンセプトになり得ます。
ステップ3:ビジュアルへの変換(ムードボード作成)
言葉が決まったら、次は視覚的なイメージを固めます。 InstagramやPinterestを活用し、決定したキーワード(例:「Relax」「Sunday Morning」「Natural Wedding」)で検索してみましょう。
- 「この雰囲気、好き!」
- 「これはちょっと違うかも」
直感で画像を保存し、一つのアルバム(ムードボード)にまとめます。 これにより、「言葉」と「画像」の認識ズレを防ぐことができます。言葉だけでは伝わらないニュアンスも、画像があれば一目瞭然です。
抽象的なイメージを「具体的なアイテム」に変換する方法

「コンセプトは決まったけれど、具体的に何を選べば良いか分からない」 これは非常によくある悩みです。
ここで重要になるのが、コンセプトを「アイテム」へ翻訳する作業です。 先ほどの「Sunday Morning(リラックス)」を例に、具体的な変換方法を見てみましょう。
| アイテム | いつもの選択(迷った場合) | コンセプトに基づく選択 |
|---|---|---|
| 挙式スタイル | 厳かなキリスト教式 | ゲストの方を向く「人前式」 |
| 会場装花 | 豪華なバラやユリ | 小花やグリーンを多用した野花風 |
| BGM | 流行のJ-POP | ジャズやボサノバ、アコースティック |
| 高砂席 | 一段高いテーブル席 | ゲストと同じ目線のソファー席 |
| 演出 | キャンドルサービス | デザートビュッフェで歓談 |
| 引出物 | 重厚なカタログギフト | 朝食で使えるマグカップや珈琲 |
このように、「日曜日の朝にふさわしいか?」という問いかけを繰り返すことで、自然と選ぶべきアイテムが見えてきます。 「豪華さ」よりも「心地よさ」を優先するという判断基準が明確になっているため、迷いが消えるのです。
それでも決まらない時の解決策:プロの「診断」を利用する

ここまで読んで、「やっぱり自分たちだけで決めるのは難しそう……」と感じた方もいらっしゃるかもしれません。 また、新郎新婦間で意見が食い違い、喧嘩になってしまうことも珍しくありません。
そんな時は、無理に二人だけで解決しようとせず、外部のプロフェッショナルや便利なサービスを頼ることを強くオススメします。
結婚式相談カウンターや「診断」を活用する
式場が決まる前、あるいは決まった後でも利用できる「結婚式相談カウンター」や、Web上でできる「ウェディング診断」は非常に有効です。
- 客観的な視点: 数千組を見てきたプロが、お二人の会話の端々から「潜在的なニーズ」を言語化してくれます。自分たちでは気づかなかった「大切にしたいこと」が見つかることも多いです。
- 新郎様への説得: 第三者が間に入ることで、新郎様も客観的に意見を聞き入れやすくなります。
- 無料のサービスが多い: 「ハナユメ」や「ゼクシィ相談カウンター」などは、相談自体は無料です。
「自分たちに軸が無い」のではなく、「軸を見つける方法を知らないだけ」です。 プロの手を借りることは、決して恥ずかしいことではありません。 むしろ、早い段階で方向性を定めることが、結果的に準備の時短と成功に繋がります。
決めたコンセプトをプランナーに正しく伝えるコツ

素敵なコンセプトが決まったら、それを実現してくれるプランナーへ正しく伝える必要があります。 伝達の齟齬(そご)を防ぐための、3つのポイントをお伝えします。
1. 「言葉」+「画像」のセットで渡す
「ナチュラルな雰囲気で」とだけ伝えても、プランナーが想像する「ナチュラル(森系)」と、お二人が想像する「ナチュラル(洗練されたシンプル)」が異なる場合があります。 ステップ3で作ったムードボード(画像集)を必ず提示しましょう。百聞は一見に如かずです。
2. 「やりたくないことリスト(NGリスト)」も共有する
「何をしたいか」と同じくらい、「何をしたくないか」は重要です。
- 長時間のスピーチは入れたくない
- 派手な照明演出はNG
- 造花は使いたくない
これらを事前に伝えることで、コンセプトから外れた提案を回避できます。「こだわり」の裏返しであるNGリストは、プランナーにとって非常に有益な情報です。
3. 新郎様を巻き込む伝え方
男性の中には「コンセプト」や「テーマ」という横文字に対して、「気恥ずかしい」「面倒くさい」と感じる方もいらっしゃいます。 その場合、新郎様やプランナーとの会話では、あえて「コンセプト」という言葉を使わないのも一つの手です。
- 「合言葉は『リラックス』にしよう」
- 「裏テーマは『感謝を伝える飲み会』ってことで」
このように言い換えるだけで、新郎様の心理的ハードルが下がり、協力体制が築きやすくなります。
よくある質問(Q&A)

ここで、私が現場でよく相談される質問にお答えします。
Q. 準備の途中でコンセプトが変わっても大丈夫ですか?
A. 準備の初期段階であれば問題ありません。 ただし、招待状のデザイン決定後や、装花のオーダー後に変更すると、キャンセル料が発生したり、統一感が損なわれたりする可能性があります。 本格的なアイテム発注が始まる前(挙式の3〜4ヶ月前)までには、軸を固めておくことをオススメします。
Q. 新郎がコンセプト決めに全く興味を持ってくれません……。
A. 質問の仕方を変えてみましょう。 「どんなコンセプトがいい?」と聞くと、多くの男性は困ってしまいます。 「ゲストの○○君に、帰る時なんて言ってほしい?」 「○○な雰囲気と、△△な雰囲気、どっちが俺たちらしいと思う?」 というように、具体的かつ二択で答えられる質問を投げかけてみてください。答えやすさが段違いです。
Q. 「テーマカラー」と「コンセプト」は別物ですか?
A. はい、別物ですが密接に関係しています。 コンセプトは「雰囲気・想い(抽象的)」、テーマカラーはそれを「視覚化する手段(具体的)」です。 例えば、コンセプトが「元気・活発」ならテーマカラーは「イエロー・オレンジ」。 コンセプトが「大人・上質」なら「ネイビー・ゴールド」などが選ばれます。 まずはコンセプト(軸)を決めてから、それに合う色を選ぶのが正解です。
まとめ:コンセプトは二人の「羅針盤」。迷ったらプロに頼るのも賢い選択!
最後までお読みいただき、ありがとうございます。 結婚式のコンセプト決めは、新郎新婦としての最初の共同作業です。
- コンセプトは「演出」ではなく、迷わないための「羅針盤」
- 特別な趣味が無くても、「価値観」からコンセプトは作れる
- 困ったら無理せず、プロの診断やカウンターを頼る
どうか、「オシャレにしなきゃ」と気負いすぎないでください。 お二人が大切にしたいこと、ゲストに伝えたい感謝の気持ち。それさえ明確であれば、必ずお二人らしい素敵な結婚式になります。
もし、どうしても二人だけで答えが出ない時は、無料の相談カウンターやウェディング診断を試してみてください。 プロと少し話すだけで、驚くほど頭の中がクリアになり、ワクワクした気持ちが戻ってくるはずです。
お二人の結婚式が、生涯忘れられない最高の一日となりますよう、心より応援しております。


